障害児訪問保育 Annie

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アニーだより

医療的ケア児家庭と新しいあたりまえを創る~ヘレン・アニーの卒園に寄せて~

  • hatena

3月は卒園式シーズン。フローレンスの運営する障害児保育園ヘレン、障害児訪問保育アニーでも卒園式が行われ、お子さんたちが新たな門出を迎えました。

日常的にたんの吸引などの医療的ケアを必要とする「医療的ケア児」。
現在、全国で約2万人いると言われ、新生児医療の発達とともにここ15年で約2倍に増加しています。その一方で長時間預かる場所が少なく、保護者が働くことを諦めざるを得ない現状がありました。

そこでフローレンスは2014年に施設でお子さんを集団保育する「障害児保育園ヘレン」、2015年にご自宅でお子さんをマンツーマンでお預かりする「障害児訪問保育アニー」を開始。お子さんの成長を見守りながら、親御さんが仕事と育児の両立を実現できるよう伴走してきました。
2022年度末までにお預かりしたのべ人数は、ヘレン・アニーと合わせて216名です。

そして今年も、障害児保育園ヘレンで7名、障害児訪問保育アニーで6名のお子さんが卒園していきました!

あたたかい笑顔と涙のあふれる卒園式の様子と親御さんから寄せられたコメントを紹介します。

丁寧で工夫あふれる1対1のアニー保育に”ありがとう”

今年のアニーの卒園式は、3月25日に豊島区にある勝林寺で開催されました。勝林寺は以前アニー・ヘレンを利用してくださっていた方のお寺です。今年の卒園児は6名と例年より多いので会場の相談をしたところ、開催を快く承諾いただきました。
会場に参加できないスタッフやアニーを利用中の他の親子はオンラインで参加しました。

お寺の会場はアニーの保育・看護スタッフ手作りの装飾で彩られ、開始前には飾りを親子で楽しそうに眺める姿も。

アニーは普段ご自宅でマンツーマン保育を行うため、一堂に会する機会はとても貴重です。


式が始まり卒園証書とアルバムを受け取ったあとは、スタッフと一緒にお歌や遊びの時間。スタッフ手作りのお子さんの成長を追った動画を見て参加者が涙をする時間もありながら、笑顔と笑い声のあふれる賑やかな式となりました。

笑顔が素敵なMちゃんのご家庭からメッセージをいただいたのでご紹介をします。

アニーを利用する前は、週4日で児童発達支援に通っていたため、先生とマンツーマンの保育に正直不安がありました。子どもにとって自宅で過ごすことや、他の子と関わらなくなることで、刺激が少なくなってしまうのではないかと気になっていたからです。

しかし実際に利用を開始すると、先生との朝の会をして、オンラインでお友達に挨拶して、お外に出かけて、お昼を食べて、午後は製作などをして、刺激たっぷりの時間を作って下さっていました。
保育中に先生が撮ってくださる写真も笑顔が多く、子どもが楽しんでいることがわかり安心しました。

特に感謝しているのは、自宅付近の公園や公民館、図書館などに積極的に連れて行ってくれていたことです。
個人的に、我が子ながら障害を持ったこどもを図書館や公民館に連れて行く勇気がなかなかなかったこともあり、毎日色んなところに連れて行ってくれて、大きな滑り台にも抱っこして登って滑ってくれたりと、帰りの会で話を聞くとビックリすることがたくさんありました。

アニーを利用したことで、いろいろな経験をさせてもらえて本当に良かったと思います。

専門性高く温かいヘレンの集団保育でお子さんに様々な変化

障害児保育園ヘレン荻窪では3月18日、卒園児2名のご家庭とヘレン荻窪のスタッフで卒園式を行いました。
この日卒園を迎えたのは約2年ヘレン荻窪で過ごしたAちゃんと、3年半在籍していたAくん。当日は「どの写真も思い出深くて選ぶのに苦労した」という先生の思いのこもったスライドショーでお子さんの成長の軌跡を振り返りました。

在園児から卒園児へのプレゼントは、ヘレンのロゴマーク入りの手提げバック。園児たちがヘレンのロゴ部分にスタンプや手などそれぞれの形で色付けをしました。

卒園児もご両親に花束のプレゼントを贈りました。
もちろんこちらもお子さんたちの手作りです。画用紙に手形を付けたものを担任の先生が束ねて花にしました。ご両親もとても喜んでいました!

ご家庭からのメッセージをご紹介します。

朗らかな笑い声と笑顔が可愛らしいAちゃんのご家庭より:

ヘレンでの日々を振り返って、ヘレンで過ごした1年8か月の間で、出来ることがたくさん増えたなと感じています。入園当初は不安定だったお座りも安定し、上半身を支えてもらいながら足を踏ん張ることができるようになりました。コップで飲むことやかじり取って食べることも上手になったと感じています。

ただ何よりも嬉しかったことは、本人が毎日楽しく通ってくれたことです。先生やお友達との時間を楽しんでくれていることが一番良かったと思っています。「ニコニコしていました」「声を出して笑っていました」など楽しそうに過ごしている様子を先生から連絡帳でお伝えいただいたことは日々の癒しでした。
家族以外の人と人間関係を築くことができると知れたことは、進学に向けて本人にとっても家族にとっても自信になっています。

少し離れた場所にある小学校に通うことはとてもハードルが高く感じていますが、親の心配をよそに意外にも早く新しい環境に娘は慣れることができるので、マイペースに楽しく過ごしてくれるのだと思います。
ヘレンでたくさんの成長の種をまいてくれたように感じています。開花したものもあれば、まだまだ成長途中の種もたくさん。ゆっくり丁寧に一つ一つ成長させていければと思うので、引き続き見守っていただけたら嬉しいです。

人懐っこくスタッフのこともお友達も大好きなAくんのご家庭より:

子どもを我が子のように大切に想ってくれて、かつ、仕事をしたい・ゆっくり美容院に行きたい・友達とも遊びたいーそんな願いを全て叶えてくれる保育園でした。

全ての先生が志高く、子どもたちの成長を願ってくださり、初めてご飯を食べさせるときには摂食リハビリにも一緒にご同行いただきました。
足の過敏を無くしたいので足の裏を出来るだけつけて活動してくださったり、体や気管が平らになるのを防ぐために、出来るだけ座らせてほしいというお願いを聞いてくださったり、朝の会や音楽活動の際には骨伝導の補聴器を使って下さったりしてくれていました。

先生たちは私より細かく息子の変化に気づいてくれて、ご飯もう少し柔らかいほうが良さそうです、とか座位保持椅子のサイズを調整していいですか?など、子どもにもママにも寄り添っていただき、海やプールに行ったことを報告するとすごく喜んでくださって、私自身も嬉しい気持ちや承認された気持ちになりました。

何かあった時に相談できる先生がいること、私たち家族の意見を尊重してくれる存在がいることでより一層ヘレンさんの存在が大きいものとなりました。なくてはならない存在です。

卒園するのが本当に嫌だと伝えると、いつでも遊びに来てくださいとおっしゃってくださり、これからも第二のホームとして遊びに行きたいと思います!

お子さんがアニーやヘレンで楽しく日々を過ごして成長したことはもちろん、障害のあるお子さんが生まれたことでこれまでは仕事を諦めざるを得なかった親御さんたちが仕事を続け、ご自身の時間や趣味の時間を持つことができるという、新しい「あたりまえ」をご家族と共に生み出してきました。こういったひとりひとりの親子の変化が重なって大きな潮流となり、社会を動かす原動力になっていくとフローレンスは信じています。

昨年に医療的ケア児支援法が成立し、日本の歴史上、初めて国や地方自治体が医療的ケア児の支援を行う責務を負うことが明文化されました。
医療的ケア児を子育てする家族の負担を軽減し、医療的ケア児の健やかな成長を図るとともに、その家族の離職を防止する目的で作られたものの、まだまだ各現場での試行錯誤が続いており、全ての親子が希望する選択ができている状況ではありません。

フローレンスは、障害の有無に関わらず、社会全体で子育てを支え、共に子どもたちを育むことがあたりまえの社会を実現を目指し、今後も活動していきます。

 

障害児訪問保育アニーでは、2023年度の入園希望者を募集しています
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