「やってみたい」を大切に生まれた作品たち
「障害児訪問保育アニー」では、毎年恒例となったアニーのこどもたちの絵画展を今年も行いました。11月の1ヶ月間、フローレンスの神保町オフィスの一角には作品がずらり。通り過ぎる人たちはみな足を止めて見入っています。開催は今年で4年目を迎えました。
ご覧いただくと、色づかいも表現の方法もひとつひとつ違うのがよくわかります。平面から飛び出してきそうなパワーに、観ているだけで元気がでます。
作品は、担任の保育スタッフが日々の1対1の保育のなかで、お子さんの成長や様子に合わせて活動計画を立て、好きなことはもちろん「今だからこそ少し背伸びしてやってみたいこと」にも楽しくチャレンジできるような工夫をしながら製作しています。
それぞれの製作の様子を少しのぞいてみましょう。
Sちゃんは指や手のひらを使ってペインティング。絵の具の感触を楽しみながらたくさんの色を使って、カラフルで勢いのある作品になっています。
Kくんは本当は製作はあんまり好きじゃない…けれど、今回はきのこにシールで模様をつけるのを頑張りました。さらに担任と一緒にきのこの上で絵の具のついたビー玉を転がすとその動きを不思議そうに見つめて、色とりどりのきのこが完成したのでした。
Rちゃんは普段からお絵かきが大好き!オンラインで朝の会をしている時もいつもペンを動かしています。大胆な線を描いたり、細かい丸をたくさん描いたり。時には輪郭の中に目や口を描くなど、多彩な表現を見せてくれます。
ほかにも、折り紙をびりびりと破ったり、くしゃくしゃに丸めたりする感触を楽しんだ後にその折り紙を貼ったお子さんや、日々の散歩で集めた落ち葉のかさかさした感触を楽しみながら画用紙に貼って作品にしたお子さんもいます。
それぞれが日常の遊びや生活のなかで積み上げた経験が、作品づくりに存分に生かされています。
「絶対みんなに見てもらいたい」
絵画展を始めた保育スタッフの思い
アニーでは季節や行事に合わせて製作を楽しんでいますが、ご自宅での保育のため作品を見ていただくのは保護者やご家族に限られることがほとんどでした。
そんな中、保育スタッフのなかしー先生がクラス合同の絵画展を企画したのです。
「絵画展の企画は、4年前に担任をしていたお子さんがきっかけです。
そのお子さんは最初は手に過敏があって何かを触るのが苦手でした。そこで私の前の担任の先生が活動に感触遊びを取り入れたところ少しずつ過敏が減っていき、担任を交代したころには絵の具を手につけて描くことができるようになったのです。
お母さんが用意してくれたたくさんの絵の具や色ペンを、どちらにする?と見せると、楽しそうに色を選ぶように。手をダイナミックに使うほか、筆やペンを握る時には大きな目玉クリップとマジックテープを利用して持ちやすい工夫をすることで、一気に表現の幅が広がりました!その時の気持ちや感覚をどんどん、どんどん絵にするようになって、素敵な作品がたくさんできたんです。
作品ができるほど、私も誰かに見てもらいたい気持ちが大きく膨らんで、まずは同じクラス(年中組)の先生たちに声をかけて企画をスタート。保育の合間に準備をして、小規模ながら素敵な会をすることができました」
この絵画展が好評で他のクラスの先生たちからも次回はぜひ参加したいと声が届き、翌年からはアニー全体で行う催しに拡大したのでした。
普段は離れていても
こどもたちの成長を感じ合う機会になった
今では有志の先生が係となって開催している絵画展。今年も10月最終日の午後、神保町オフィスでいよいよ展示の準備が始まりました。
オフィスに届けられた作品の数々。
データで提出された作品はプリントアウトします。
各作品を台紙に張って、タイトルと名前をつけていきます。
作品の魅力が伝わるよう、レイアウトにもこだわります。
毎年の展示の経験があるので準備はスムーズに進みます。
今年の展示が完成しました!
係の先生たちが大切にしているのは、「お子さんの作品そのものを見てほしい」という想い。絵画展を継続している理由をネコ先生にお聞きしました。
「こどもたちの作品をみなさんに見ていただくことはもちろんですが、担任としても、担当児以外のお子さんの様子がわかるのでとても嬉しい企画です。
以前はできなかったことができているなど、作品を通して他のお子さんの成長を知ることができます。他の先生たちの取り組みや工夫も見ることができるので、次は自分が担当しているお子さんにもこんなふうにしてみよう、など様々な発見があって保育に活かすことができます」
お子さんだけではなく、保育スタッフにとってもお互いの保育から学びあう大切な成長の機会のひとつになっているのですね。
保護者会でご家族にもお披露目!
11月9日(土)にはアニーの保護者会があり、絵画展を保護者のみなさんにも観ていただくことができました。きょうだいのお子さんが作品を見つけて喜んだり、保護者同士で感想を伝えあったり、会話の弾む時間となりました。
「日頃の活動の一端をみることができて良かったです」
「身近な物を使って作品を作っていて参考になりました」
「今度はもう少し広いところでやって、もっと大勢の人に見てほしいです!」
保護者のみなさんからも嬉しい感想をいただいています。
アニーではこれからも目の前のお子さんの育ちに寄り添い、ひとりひとりに必要な経験を積み重ねることを大切に保育を行っていきます。そして、アニー全体で、また保護者のみなさんとも一緒に、こどもたちそれぞれの成長を喜びあう機会を作っていきたいと思います。
引き続き「障害児訪問保育アニー」では、障害や医療的ケアのあるお子さんへのご自宅での保育を通し、お子さんの成長とご家族の就労をサポートしていきます。入園をご希望の方は、ぜひお問い合わせください。