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アニーだより

わが子が人工呼吸器でも「はたらく」をあきらめない! アニーバディご利用家庭にインタビュー(後編)

  • hatena

 

同年齢の子たちと同じような経験をさせたいのに、わが子に「人工呼吸器」が付いているだけで保育園に行けず、親も仕事に復帰することもできない。人工呼吸器を使用しているお子さんの保護者の多くが、そんな現実に直面しています。

お子さんにつきっきりでケアをする必要があるため、仕事はもちろん、普段の買い物すらままならないこともあります。

今回は、育児と仕事を両立している薄井さんに、人工呼吸器のお子さんを親御さんと共同保育する「アニーバディ」のトライアルに参加されるまでの思いと、保育が始まってからの変化について伺いました。

前編はこちら

 

アニーバディのトライアルに参加

最初に相談をしたのは「障害児保育園ヘレン」と「医療的ケアシッター ナンシー」でしたが、家からの距離や預かり時間を考えると仕事との両立が難しいことがわかりました。その後に連絡がきたのが「障害児訪問保育アニー」でした。

「『アニーバディのトライアルをしてみませんか?』と声をかけていただきました。人工呼吸器を使用しているこどもを預かるアニーバディという保育サービスを検討していた、というのです」

アニーバディは人工呼吸器等を使用しているお子さんのご自宅に保育スタッフが伺い、保護者に保育スタッフが担えない医療的ケア等の対応をしていただくことで、お預かりを実現するサービスです。看護スタッフも巡回訪問し、お子さんと保育の現場を支えています。

「アニーのスタッフがうちに来て、話を聞いてくれた日のことは本当によく覚えています。話を聞いてくれるだけで、とてもありがたいという気持ちでした。一緒にトライアルをやってみましょうと言われた時は、目の前がぱあっと開けた気持ちでした」と薄井さん。「Mくんをこの狭い家に閉じこめて過ごさなくていいのでは」と思えたことが、本当に嬉しかったそうです。「ちょっと道が見えたなと思って。保育士の勉強をしなくて済んだって安心しました(笑)」。

密度の高いコミュニケーションが安心感につながる

薄井さんは、出産後もなんとか在宅で仕事を続けていました。呼吸器の機器の周りで動き回るMくんを足の間で遊ばせながら呼吸器が抜けないように見守り、片手はスマホで仕事をする日々。しかし、アニーバディのトライアルが始まった頃には、オンラインでのマネジメントに限界を感じて、仕事にも育児にも夫婦で疲れ切っている時でした。

薄井さんにとってアニーバディにMくんを預けることは、「最初は正直言ってとても怖かった」そうです。「Mくんが退院した時はまるで病院から放り出されたような気持ちで、その後も『うちの子は他の子とは違う』とずっとナイーブになっていました」

だからこそアニーのスタッフとの密度の高いコミュニケーションが、薄井さんにとって大きな安心になったそうです。

アニーバディではお子さんの安全を守りながら、発達に合わせた活動を組み立てています。

 

 

慣らし保育では、保護者も保育している部屋にいて普段のお子さんへの関わりをスタッフが学ばせていただきながら、体調や日常のケアについて引き継ぎをしていきます。

「慣らし保育の時に、医療職ではない保育スタッフが対応できること・できないことをはっきり伝えてくれて、こういうリスクが考えられる、保護者と連携してこういうフローにしたいとひとつひとつ慎重に検討し、すべてを相談してくれました。それが本当に心強く、信頼できると思えました

その積み重ねで、うちは親が同室ではなく別室で過ごしても大丈夫と判断してくださったんです。初めて別室に行っていいよといわれた日は、寝ました。あんなに安心してぐっすり眠れたのは、Mくんが退院して初めてのことでした」

毎日の保育が始まって、Mくんにも大きな変化が見られました。生活リズムが少しずつ整っていき、よく遊ぶことで体力もついていきました。嬉しいことに肺も成長し、人工呼吸器を外せる時間が1時間から2時間…と少しずつ増えていきました。今では12時間も外すことができるようになり、外出も気軽にできるようになったそうです。

「保育が始まるまではMくんの育ちについてわからないことが多く、これでいいか、これはどういうことなのかと悩んでいました。今は、担任の先生や看護スタッフに相談すると専門的な視点で一緒に考えてくれて、保育中にもいろいろと工夫した関わりを試してくれています

「散歩に同行してもらう時には、人工呼吸器や酸素などのベビーカーへの上げ下ろしを一緒にやってくれて、『一人じゃない』と実感し、とても嬉しかったです

Mくんの成長とともに薄井さんの気持ちも明るくなっていき、「片時も離れられずMくんしか見ていなかったのが、良い距離感をとれるようになった」と、薄井さん自身の嬉しい変化も教えてくださいました。

「これからもアニーと一緒に乗り越えていける」

「アニーがいなかったらどうしてただろう、考えられないよね」と、夫婦で語り合っているという薄井さん。「Mくんも世界が広がって、どんどん成長している」と手応えを感じています。発達面でまだ心配はあるものの、アニーと一緒に子育てできるなら乗り越えていける」と力強く話してくれました。

薄井さんは大学院でビジネスも学び始めたとのこと。ご家族の世界も広がっています。

 

 

 

どこからも拒否されて苦しい気持ちでいた時に、Mくんとアニーバディにトライしてみたいといっていただけて、本当に嬉しかったです。アニーバディができることで私と同じように悩んでいる方も救われるんじゃないかって…。これからのフローレンスさんの活動に、Mくんのケースが少しでも役立ってくれると嬉しいです」。

フローレンスでは、薄井さんのこの思いをしっかりと受け止め、行動していきます。

アニーバディについて

障害児訪問保育アニーでは、人工呼吸器やCVカテーテルなどを使用しているお子さんをお預かりする「アニーバディ」をスタートしています。

お子さんのご自宅に担任の保育スタッフが訪問して、保護者とバディとなってお子さんの安全を守りながら、保護者の「はたらく」とお子さんの「保育」の両方を叶えます。

保護者の方には在宅勤務をしていただき、必要な時には保育スタッフでは担えない一部の医療的ケアの対応などをお願いいたします。

まずはフォームよりお問い合わせください。

 

担任スタッフからメッセージ

 

保育ではその日の状況や体調を考えてさまざまな遊びをしています。最近はいろいろな事に興味が持てるようになり、楽しい、やってみたいと思う気持ちが芽生え、成長につながっています。

人工呼吸器が外せなかった時は活動範囲が狭く、危険が多くありましたが、看護スタッフや保護者との連絡がいつでも取れる体制なので安心でした。人工呼吸器を長く外せるようになった今もアニーだけでなく、他事業所のリハビリの先生とも連携し、Mくんの様子を共有しあってみんなで見守っています。小さな成長を保護者や保育に関わる全ての人たちと喜び合う日々。 Mくん!これからも一緒にお散歩へ行ったりして、みんなで笑い合って過ごしましょうね。

 

 

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